「デザインレビューって何ですか?意味と目的を教えてください」
こういった疑問に答えます。
本記事の内容は以下の通り。
・デザインレビューの意味と目的
・デザインレビューは設計者いじめ?
この記事を書いている私は、製造業のエンジニアとして10年近く携わってきました。
これまで、設計開発や品質保証、さらに製造スタッフなどを幅広く経験してきました。
私自身、設計者としてデザインレビューを主催したことがあります。また、製造・品質保証側の有識者として出席した経験もあるので、設計側と審査側の両方の気持ちがわかります。
そんな自分の経験も踏まえつつ、JSQC規格の定義をベースにして、新入社員むけにデザインレビュー(design review/DR)の意味と目的の概要を説明します。
デザインレビューの意味と目的
デザインレビューとは?
デザインレビュー(design review/DR)のJSQCの定義は以下のとおり。
設計活動の適切な段階で必要な知見をもった人々が集まって、そのアウトプットを評価し、改善点を提案する、及び/又は次の段階へ移行の可否を確認する組織的活動
デザインレビューの対象は、製品・サービスの設計だけでなく、生産、輸送、据付、使用、保全などのプロセスの設計も含まれています。
このデザインレビューの目的は、お客様のニーズを満たす製品を提供するために、その設計の品質を確保することです。
設計者だけで、設計のアウトプットを評価すると、実際に製造・販売・アフターサービスをする際に発生する問題を見落とす可能性があります。
そうならないように、設計の段階で、製造・購買・品質保証・生産管理・生産技術などの関連部署の有識者に集まってもらい、量産時のトラブルを未然に防止すべく、設計のアウトプットを評価します。
そこで改善点や問題点があれば開発や設計にフィードバックして処置・対策を行います。
デザインレビューのタイミング
デザインレビューのタイミングは業界や企業によっても変わりますが、一般的には構想設計・基本設計・詳細設計・試作評価の終了時などです。
または、製品企画・設計検証・妥当性確認などの設計の確認時にもデザインレビューが適用されます。
顧客の要求と製品のコンセプトが固まったらデザインレビュー
設計が固まったら、規定要求事項と照らし合わせるためにデザインレビュー
実際に試作して、製造できるのか、顧客のニーズを満たしているのかを確認するためにデザインレビュー
このような感じです。
ここでのポイントは、一足飛びに量産移管の直前になってデザインレビューを行うのではなく、製品の企画の時点から、設計の段階ごとに行うことです。
量産移管の直前にデザインレビューを実施して、他部門から問題点を指摘されて一からやり直しになると大きな時間のロスに繋がります。
そのような事態を避けるためにも、早い段階から他部門を巻き込んで改善点の提案を受けながら設計を進めることが大事です。
デザインレビューは設計者いじめの会議?
繰り返されるデザインレビューと削られるメンタル
このデザインレビューですが、実際に自分が設計者として出席するとなると気が重いですよね。
なぜなら、この会議の性質上、設計のあらさがしの会になるからです。
なので、準備不足でデザインレビューにのぞむと、他部門から問題点やあるべき論をさんざん言われて、いじめられます。
宿題をたくさんもらって、またデザインレビューのやり直しになります。そしてさらに突っ込みが入っていじめられる。
もちろん新製品の上市のタイミングも決まっているわけで、徐々に焦りが出てきます。
それでもデザインレビューが通らずに、またやり直し。
これを繰り返していくとメンタルがやられますよね。
私も新人の頃はこれをやってしまい、精神的にかなり参っていました。
デザインレビューでいじめられないための準備
当時の私は、会議は議論をする場だと思っていました。
なので、デザインレビューでも大いに議論が巻き起こり、問題が山積みになりました…
しかし、問題点を解決して、また次の会議にのぞむもまた問題が浮き彫りになり、これを繰り返すばかりであまりにも非効率的でした。
本来、会議は決定の場であり、あれこれ問題点をその場で列挙するのは望ましくありません。
各部門の偉い人が集まるようなデザインレビューでは特にそうです。
そのため、事前に各部門のキーマンに相談し、問題点があれば解消しておきましょう。そして、会議までに各部門から合意を得ておくのです。
もちろん、各部門の合意を得た状態で、その会議の決定権者にも話をつけておきます。
いわゆる、根回しです。
根回しは、目的を効率的に達成するためになくてはならない行動です。
特に、デザインレビューのような関連部門がすべて集まる重要会議ではなおのことです。
会議当時に、各部門が言いたい放題あるべき論をしゃべり始めたら収集がつきません。
デザインレビューでいじめられるのは、設計者の技術力の問題ではなく、根回し力・プロジェクト推進力の問題です。
もちろん、そうは言っても各部門にいろいろな性格の人がいますし、簡単ではないですが、努力は必要です。
まとめ
デザインレビュー(DR)の意味と目的について解説しました。DRは量産時のトラブルを未然防止するために、関連部門の有識者を集めて設計のアウトプットを評価する場です。
設計の初期の段階から各部門のキーマンを巻き込み、設計をブラッシュアップし、事前に各部門の合意を固めた状態でDRに臨むように意識しましょう。
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