「QC活動のテーマを考えろと言われても、特に困りごととかないし、どうやってネタを見つければ良いのかわからない」
「個人的な作業でのテーマのネタは思いつくけど、他のグループ員には関係ないし不採用だよね」
「ネタは集まったけど、どうやってテーマを絞り込めばよいのかわからない」
こういった疑問にお答えします。
■本記事の内容
・QC活動のテーマ選定は重要
・QC活動のテーマのネタ探しのポイント
・QC活動のテーマ選定の方法
・QC活動テーマを取り上げた理由の明確化
・テーマ名のつけ方
この記事を書いている私は、製造メーカーの技術職であり、約10年間QCサークルのメンバーとして活動しています。
QC活動の難しさは理解しており、実体験に基づいた現場目線で、役立つ情報を提供します。
QC活動のテーマ選定は重要
QC活動のテーマ選定とは
まず、『テーマ選定』とは、QCサークルで取り組む活動テーマを決めるステップです。QCストーリーでは初めのステップに該当します。
QCストーリーについてはこちらの記事で解説していますので、詳しく知りたいかたはこちらをどうぞ。↓
QC活動のテーマ選定は、QCサークルのメンバー全員でテーマ候補を複数挙げ、優先順位付けをして一つに絞る流れで、活動の方向性を左右する重要なステップです。
テーマ選定を軽視してはいけないワケ
繰り返しになりますが、QCサークルのテーマ選定のステップは、非常に重要です。
なぜなら、QC活動に取り組むメンバーのモチベーションに直結するからです。
取り組む価値のあるテーマを選び、対策によって困りごとを解決し、メンバーが効果を実感し、「やって良かった!」と思えることが、次の活動のモチベーションにも繋がります。
ここで、QC活動のテーマ選定を誤るとモチベーション低下につながるので注意です。
モチベーション低下につながるQC活動のテーマの例は、こんなやつです↓
・上司から押し付けられただけのテーマ
・実はたいして困っていないけど選んだテーマ
このようなQC活動のテーマは、やる気が出なかったり、QCストーリーにのせづらかったりして、活動が行き詰まりやすいです。
せっかく取り組んでも効果を実感できない場合も多く、無駄な活動だったという印象を残します。
これを続けると負のスパイラルに入り、QC活動の停滞を招きます。
なので、QC活動のテーマ選定は手を抜かず取り組む必要があります。
QC活動のテーマのネタ探しのポイント
QC活動のテーマのネタ探し(テーマ候補案を探す)、これって、簡単なようで難しいですよね。
QC活動のテーマに適したネタから探し方のポイントについて解説していきます。
QC活動のテーマに適したネタとは
QCサークルはグループ活動なので、テーマとしてはグループ員の困りごとや、所属部署の課題が適していて、取り組みやすいです。
これは基本なので、とりあえず念頭に入れましょう。
「いやいや知ってるし(笑)、それが難しいんですけど??」
って感じですよね。その通りです。
特に、事務部門は、同じ部署に所属していても個々人で業務内容が違うことがほとんど。
グループ員共通の問題や課題は、日ごろから高い目線をもって業務に取り組まなければ思いつかないものです。
ですので、個人的な意見ですが、QC活動テーマのネタ探しの際は、グループ員共通の困りごとかどうかなんて、ほとんど意識しなくて良いです。
ネタ探しの時点でそれを考えると全く前に進みません。
この理由については、後ほど『QC活動のテーマ選定の方法』で解説します。
QC活動テーマのネタ探しの着眼点
ネタとは、職場の困りごとであり、それは問題です。
どのような問題があるのか探すための一般的な着眼点を紹介します。
ネタ探しで行き詰った場合に、以下の項目について身の回りの問題がないか考えてみましょう。
●職場の六大任務
・品質
・コスト
・量・納期
・安全
・やる気
・環境
●現場の4M
・作業者
・設備・治工具
・原材料
・方法
そのほかにも、事務部門や開発部門では以下の観点があります。
・業務プロセス
・人材育成
・顧客視点(顧客や従業員の満足度)
最近では、働き方改革の流れもあり、定時退社を目指した業務効率の改善や、従業員が働きやすい職場環境の見直しなどを切り口としたネタ出しも良いと思います。
どうしてもネタが出ない場合は、上司に相談して職場の課題を聞いてみるのも良いかもしれません。
ネタを教えてほしいというスタンスではなく、あくまでネタ出しの「方向性」のアドバイスをもらうという意味です。
職場の方針に沿ったQC活動のほうが、より上司の協力を得やすいですし大事です。
ただし、上司がこう言ってたから、このネタがよい!という考えはやめたほうが良いです。
自分の納得感を忘れずに。
そのネタがQC活動テーマに選定されて活動してもたいして楽しくないし、モチベーションが上がらず、活動が面倒になるだけです。
テーマ選定のネタ探しに役立つおすすめ本
テーマ選定のネタ探しの切り口をより詳しく知りたい、仕事や改善についての本質的な考え方を復習したいという人には、「トヨタ 仕事の基本大全」を一読することをおすすめします。
特に、製造業で働く人は最低限知らなくてはいけない仕事の原則が記載されているので、必読です。
ベテランの方も、初心に帰る意味で読んでみれば、思わずそうだよね!と頷く内容です。読む価値ありです。
本記事で話題にしているテーマ選定のネタ探しに関連する部分は、第一章「仕事哲学」、第二章「5S」、第三章「改善力」です。
文章も教科書的な堅苦しさはゼロなので気楽に読んで勉強できます。これを読めば、職場の改善のポイント(目の付けどころ)がわかるので、QCサークルの活動テーマを探すのに大いに役立ちます。
また、それだけでなく、本書は一生使える仕事の原理・原則が中心に書かれているので、間違いなくあなたの仕事に一生役立つ財産となります。
気になるかたはぜひ「トヨタ 仕事の基本大全」を読んでみて下さい。また、本書はなんとAmazon audibleのラインナップにもあります。
なので、もし「読書が嫌い」「お金を掛けたくない」という人は、Amazon audibleの無料体験を賢く使えばタダで「トヨタ仕事の基本大全」を聴けます。通勤時間に流し聴きをして、効率的に勉強するのもありです。興味のあるかたはどうぞ→Amazon audibleの無料体験はこちら
QC活動のテーマ選定方法
さて、各メンバーがテーマ案を考えてきたら、グループ員が集まってQC活動のテーマを選定していきます。
グループ員で持ち寄ったテーマ案を出し合う
まずは、各メンバーが考えてきたテーマ案をどんどん挙げていきましょう。
ここで重要なことは2点あります。
1点目は、テーマ案を挙げる段階では、他人の意見に対して批判をしないというグループ員の共通意識です。
ここで、いちいち批判をしだすと、発言したメンバーは委縮してやる気をなくします。
ネタなんてないながらも、頭絞って考えてきたのに、「じゃあ、もう知らんわ!」ってなります。自分の発言を気にし始めて、発言を控えるようになります。
ダメなグループには、いちいち人の意見を批判したり、正論をぶつけてくる自称賢い私的なメンバーや困った上司がいます。
そこがQC活動の一番の難しさかもしれません。
じゃあどうすればよいのか?については別の記事に書こうと思います。
2点目は、テーマ案を紹介するときに、何が困りごとで、何を解決したいのか、解決することでどうなるのかを具体的に説明することです。
ここが曖昧なグループが本当に多いです。ここを曖昧なままにすると、その後のQCストーリーのステップで行き詰って苦労します。
私の経験上、ステップを進めるうちに、「あれ??この活動って結局何が目的だっけ?」となって、前のステップに戻り、当初立てた活動計画から遅れていきます。
うまく進められず、うんざりして活動のモチベーションが下がる、あるいは、進め方に違和感があるが惰性で進め、やる意味のなかった活動になります。
なぜなら、活動の目的が明確でないので、的外れな対策となり、成果を体感することができないからです。
さて、「テーマのネタ探しの際は、グループ員共通の困りごとかどうかはほとんど意識しなくて良い」と前のパートで書きました。
そのかわり、このテーマ案だしの段階では、上にも書いた通り、困りごとや解決することで何が実現できるのかを具体的に説明してください。
テーマ案を具体的に説明するなかで、周りの人も似たような困りごとをもっていることに気づく場合があります。「実は、私も困っていました」みたいな感じです。
であれば、テーマ案を少し修正してグループ員の困りごととして扱える可能性が出てきます。
QC活動のテーマを絞り込む方法
メンバー全員から挙げられたテーマ案を一つに絞り込んでいきます。
テーマ選定で重要なポイントは、以下を明確にすることです。
・なぜこのテーマに取り組む必要があるのか?
そして、このテーマに取り組むことに上司含めてメンバー全員の合意を得てください。
つまり、テーマの選定理由が明確になり、メンバー全員が納得できればOKです。
ここで、テーマを絞りこみ、選定理由を明確にするためによく使われるのが、マトリックス図を用いた方法です。
ただし、マトリックス図を使って選べば、自動的によいテーマを選べると誤解している人がいます。マトリックス図はただの表です。
マトリックス図を使った選定でよくありがちなのは、取り組みたいテーマが選ばれるように点数調整をするパターンです(笑)
大事なことは、テーマを選定するための各評価指標の意味合いを理解したうえで、グループ員で議論し、納得したうえで優先順位を決めることです。
絞り込みに使われる評価指標としての代表的な項目は以下です。
この指標は決められたものではないので、自分の職場に合わせて適切な指標を設定してください。
・重要度
・緊急性
・コスト
・活動期間
・全員参加
・上司方針の合致度
テーマの絞り込みが適当だと、このテーマに取り組んでいる価値がわからず、活動に行き詰ると萎えます。
他のQCストーリーのステップ以上にテーマ選定には力を注ぐべきです。
QC活動テーマを取り上げた理由の明確化
さて、数あるQCテーマから指標をもとにテーマの絞り込みができたら、改めて、メンバーでこのテーマを取り上げた理由を明確にしましょう。
会社の方針、職場を取り巻く環境、自分達の困りごと、そのテーマの重要性や緊急度を中心に改めて整理することで、テーマを取り上げた理由を整理しましょう。
会社の方針と職場の困りごとが合致し、取り組むべき重要性や緊急性が明確であれば、説得力のある説明ができます。
QC活動のテーマ名のつけ方
最後に、これから取り組むテーマ名を最終確認しましょう。テーマ名は、具体的に困りごとをどうしたいかを明確にすることポイントです。ここ、かなり重要なので手抜きはやめましょう。
このテーマ名を適当につけてしまうと、活動を進めるなかで、そもそもこの活動って、どのような困りごとを解決したかったのか、わからなくなります。
その結果、活動を進めるなかで、当初解決したかった困りごとから外れてしまい、気づいたころには関係ない方向に進んでしまうことが頻繁に起こります。
そうならないためにも、テーマ名は、テーマを見ただけで、困りごとと活動内容が分かるようにつけましょう。
テーマ名のつけ方るときは、以下の3つのポイントを明確にしましょう。
・活動の対象, 範囲, 場所
・何を, 悪さ
・どうする
テーマ名の構成は、「(活動対象)における(悪さ)を(どうする)」というような感じです。
また、特に注意すべき点は以下の2つです。
・テーマ名に手段や対策を入れない
・「どうする」を効率化や改善といった曖昧な表現にしない
テーマ名に手段や対策をつけてしまうと、対策ありきのつじつま合わせの意味がない活動になってしまいます。
問題の原因が明らかで、施策実行型で取り組むならまだしも、問題解決型や課題達成型の場合には、テーマ名に対策が入っているとか意味が分からないです。
次に、「どうする」を効率化や改善といった曖昧な表現にすると、どのように困っているのかが不明確で、何を解決すれば良いのかよくわからない活動になってしまいます。
大抵、問題解決型であれば要因解析、課題達成型であれば課題の明確化、攻め所の設定あたりで、雲行きが怪しくなっていきます。
結局、テーマの見直しをするハメになるので、テーマ選定のステップでテーマの困りごとを明確にして、テーマ名をつけるようにしましょう。
テーマ名をつける作業は雑になりがちですが、要注意です。
まとめ
テーマのネタ探しから選定の手順、最後にテーマ名のつけ方を解説しました。テーマ選定はQC活動のモチベーションを左右する非常に重要なステップです。
QC活動で行き詰っているグループをみると、その多くがこのテーマ選定に原因があります。
テーマ選定なんて簡単だよね、と雑に進めるのではなく、今後の活動がスムーズに進むかを決める重要なステップなので、この記事で書いたポイントを押さえて丁寧に進めることをおすすめします。
この記事で書いたポイントが少しでもQC活動の参考になれば幸いです。
■本記事で紹介した参考書
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