「品質管理の仕事で検査がありますが、そもそも検査するとはどういうことなのかとその目的を教えてください」
こういった疑問に答えます。
本記事の内容は以下の通り。
- 検査とは
- 検査の目的
この記事を書いている私は、製造業の技術職で、10年以上QCサークル活動に参加し、QCサークル活動の推進者としても長年携わってきました。
検査という言葉は誰しも聞いたことがあると思いますが、その意味合いや目的を理解できている人は意外と少ないのではないでしょうか。
もし、自分が検査担当であるにも関わらず、検査と測定の違いを理解せず仕事をしていると批判されるかもです。
検査と測定は意味が全く異なります。
本記事では、新入社員や品質管理初心者向けに、検査の意味合いと目的を説明していきます。
検査とは【品質管理の検査の意味】
検査の定義と意味
まずは、JIS規格(JIS Z9051-1:2006)の検査(inspection)の定義は以下の通りです。
品物又はサービスの一つ以上の特性値について,測定,試験,検定,ゲージ合わせなどを行って,その結果を規定要求事項と比較して,適合しているかどうかを判定する活動。
要するに、検査とは、製造した品物を測定して、設計図面通りにできているか、合格/不合格の判定をする活動ということです。
つまり、検査とは、最終的に判定結果を出すことが求められており、測定だけすればよいということではないのです。
たまに「検査しました!で判定どうしますか?」と、得意げに測定値を報告してくる検査担当者がいますが、検査の仕事をしていないのに等しいです。
検査と試験の違い
さて、すでにうえでもの説明しましたが、「検査」は、測定と判定を行う活動であり、一方で試験は測定の身のため意味合いが異なります。
JISとJSQCの試験の定義は以下の通りです。
JIS Z 8115:2000
アイテムの特性又は性質を測定、定量化、又は分類するために行われる実験
JSQC
規定された手順に従って、製品・サービス、要員、設備などの特性値を調べること
このように試験とは、製品の特性値や性質を調査することであり、判定は含まれていません。
※製品の特性値の意味がわからない方は別の記事で解説しているのでご参照ください。
検査と試験や測定を意識せずに混同して使っている人や、検査と試験が同じ意味だと誤解している人がいます。
検査と試験は意味合い全く異なるので注意してください。
偉そうなことを言っている私自身も、過去は検査・調査・試験・測定・計測はすべて混同して使っていました。
いろいろなところで恥をかいていたのだと思います。皆さんはそんな人にならないように、それぞれの定義をしっかり押さえてきちんと理解することをオススメします。
検査の目的/役割
検査は、製品の特性値を測定し、品質規格と比較をすることで、適合/不適合の判定を行う活動であり、その目的は以下になります。
- 不適合品/不良品が後工程や顧客に流出することを防ぐこと
- 検査の結果を記録として残すこと
- 検査の結果を前工程に伝え、不良をつくらないための活動につなげること
検査は会社の利益を守るために重要な活動です。
もし検査がなければどうなるでしょうか。
不良発生に気づかず、大量の製品を製造し、市場に供給し、顧客からクレームが来ます。その品質不良の対応コストは大きく、企業に大きなダメージを与えます。
これを避けるには、検査で、品物を測定し、合否判定をする必要があります。
また、検査が不十分であれば、品質情報を前工程にフィードバックできず、いつまでたっても品質改善が進みません。
よって製造原価や納期の改善につなげることができず、顧客満足度を向上させることは難しいでしょう。
このように、検査をすることで、クレーム低減と内部品質の改善により、品質コストを下げ、企業が利益を出すことができる状態にすることができるのです。
検査はただ単に測定することではなく、企業の利益を守るために重要な役割を担っているのです。
まとめ
品質管理の検査についてその意味合いと目的について解説しました。
検査は、品物の特性値を測定し、品質規格と比較して合否判定を出す活動であり、企業の利益を守るうえで重要な役割を担っています。
検査と試験は意味合いが異なるので注意しましょう。
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