「不適合品と不良品は何が違うのか教えてください。不良品はイメージしやすいですが、不適合品はイマイチよくわかりません」
こういった疑問に答えます。
本記事の内容は以下の通り。
・不適合品とは
・不適合品と不良品の違い
この記事を書いている私は、製造業のエンジニアとして10年近い経歴があり、これまで品質保証部門やQCサークル推進者として携わってきました。
不良品という用語はなじみがありますが、不適合品はあまりなじみがないと思います。
私自身、会社の品質保証部門で働くまでは、そのあたりの用語をどのように使い分けるのかは曖昧でした。
本記事では、不適合品の意味合いや、不適合品と不良品の違いについて理解できるよう、解説していきます。
不適合品とは
不適合品とは、不適合な製品のことです。
では、不適合とはどういうことなのか、JSQCの不適合の定義は以下のとおりです。
不適合
製品・サービス、プロセス、又はシステムがその規格要求事項をみたしていないこと
つまり、不適合品とは、規格要求事項を満たしていない製品のことを指します。
逆に、適合品とは、規格要求事項を満たした製品ということです。
この規格要求事項とは、顧客の要求事項や自社で定めた規格要求事項を合わせたものです。
顧客あるいは自社で品質の要求事項を品質特性として、その範囲を取り決めて文章化したものです。品質特性としては、例えば寸法、重さ、成分、性能などがありますよね。
この規格要求事項に適合性を確認する活動として検査があります。
検査は製品の特性を測定し、規格に適合しているかを判定する活動です。
検査の意味合いについては別の記事で解説しているので気になる方は参考にしてください。
また、この規格要求事項は品質のみならず、自社で定めた製造条件や作業手順なども含みます。これらの基準や手順が標準から外れて製造された製品も不適合となります。
要するに、顧客や自社で取り決めた品質規格や管理項目の基準を外れた製品が不適合品と言うことです。
以前は不適合品を不良品と呼んでいましたが、不適合は規定要求事項を満たさないこと、不良は用途 を満たさないことを意味することから、両者を使い分けるようになりました。
不適合品と不良品の違い
不良品とは
似たような用語として、不良品があります。
「不良」とは、用途を満たさないことを意味します。
つまり、不良品とは、用途を満たさない製品ということです。
要するに、お客様が要求する品質を満たしていない製品ということです。
お客様は製品を購入して使用することで、何らかの目的を達成したいと考えています。
しかし、実際に購入した製品を使用しても、当初の目的を達成できなければ、それは不良品と呼ばれます。
お客様に不良品が渡ってしまうとクレームに繋がるリスクがあります。
不適合品と不良品の違い
不適合品と不良品は以下のように分けて使われます。
・不適合品:規格・標準を満たしていない製品
・不良品:用途を満たしていない製品
お気づきのように、必ずしも「不適合品=不良品」とはなりません。
例えば、仮に製造条件が外れた製品を作ってしまったとします。
この製品は不適合品です。しかし、お客様が期待する用途を満たしていれば、それは不良品とは呼ばれません。
このあたりのことは、企業のコンプライアンスの問題に関わるグレーな部分です。
本記事の趣旨とは異なるのでこの点についての深堀は避けます。
一方で、品質規格を外れた製品があったとします。この製品は不適合品です。
しかし、それがお客様に流出して、製品が期待される用途を満たさなければ、その製品は不良品です。
このように、不適合品は、不良品となる場合や、ならない場合があります。
よって、不適合品と不良品は意味合いが異なるので使い分ける必要がります。
もし、あなたが品保の立場で深く考えず、基準から外れた製品を不良品だ!と製造部門で騒ぐと、製造から怒りを買うかもしれないのでご注意ください。
まとめ
不適合品の意味合いと、不良品との違いについて説明しました。不適合品は規格要求事項や標準から外れた製品のことです。
一方で、不良品は、お客様が期待する用途を満たさない製品のことをさし、不適合品とは意味合いが異なります。それぞれの意味を整理して使用するように意識しましょう。
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