「問題の取り組み状況について説明したら、重点指向で考えた?って聞かれるんですけど、そもそも重点指向ってどういう意味ですか」
こういった疑問に答えます。
本記事の内容は以下の通り。
・重点指向の意味
・重点指向をするための手順
この記事を書いている私は、製造業の技術職で、10年以上QCサークル活動に参加してきました。またQCサークル活動の推進者としても長年携わっています。
本記事ではQC的・統計的な考え方の一つである、重点指向について意味合いや、考える手順を解説していきます。
また、重点指向は、問題解決・課題達成の業務において、効率的に成果を出すための基本的かつ極めて重要な考え方なので、必ず身につけましょう。
重点指向とは?意味合いを解説【QC的な考え方】
問題解決・課題達成の業務で、重点指向は重要な考え方です。まずは、重点指向の意味合いから解説していきます。
重点指向とは【活動の重点を見極める考え方】
結論から言うと、重点指向とは、目標達成に向けて取り組むべき活動の重点を見極めるための考え方です。
目標達成に向けてまず解決すべき問題は何か?
限られた期間で目標を達成するためには、解決することで、より大きな効果が期待できる問題/課題から取り組むべきです。
どこに活動の重点を置くべきか見極める必要があります。
片っ端から問題に取り組んでいては時間が足りない
あなたの仕事の目的は何でしょうか。
問題を解決することは目的ではないですよね。
問題を解決したところで、だから何って感じです。
目的は、目標を達成して企業に利益貢献することです。
私たちは、目的を意識しなければ、ついつい取り組みやすいものから手をつけがちです。しかし、それでは、限られた時間内で効率良く成果を上げることはできないでしょう。
取り組む活動の重点を絞る【活動の優先順位付け】
そのため、複数ある問題に対して、取り組むことで得られる効果が大きい順に取優先順位を付けて、活動の重点を絞ります。この考え方が重点指向です。
では、重点指向をするための手順を説明していきます。
重点指向の手順
製造歩留まり悪化の問題解決を例にして、重点指向の手順を説明していきます。
問題解決型QCストーリーの現状把握のステップの考え方と言えます。
問題を明確化する
まずは、問題を明確化しましょう。
例えば、通常の製造歩留まりが80%で、現状が60%だとします。これは、通常時と比較して製造歩留まりが20%悪化しており、これが問題(ギャップ)となります。
問題の内訳を調査する
次に、問題の内訳を調査します。
先の例で、製造歩留まりの悪化率が20%であれば、この悪化につながった不良の内訳を調査します。
すでにデータがあれば解析できますが、もしない場合には、QC7つ道具のチャックシートを使ってデータ取りをします。
チェックシートの使い方は別の記事で解説していますので気になる方は参考にしてください。
データを解析する【パレート図】
データを解析します。この時に活用する代表的な手法が、パレート図です。
製造歩留まりの悪化率であれば、悪化率が大きいものから順に並べます。データをパレート図にして見える化することで、一目で悪化率への寄与が高い不良を特定することができます。
取り組む対象を決める
パレート図で見える化したら、効果の大きいものから順に活動で取り組む対象を決めていきます。これによって活動で取り組む重点を絞り込むことができます。
例えば、製造歩留まりの20%悪化率の内訳が、キズ10%, 打痕7%, スレ2%, 変色1%だとすれば、悪化率への寄与が高い傷と打痕の低減に取り組みます。
一方で、悪化率の寄与が低い、変色1%については、そもそも低いので、これをゼロにすることは、同じ労力を掛けても得られる効果が少なく、取り組む優先順位は低いと言えます。
まとめ
QC的・統計的な考え方の一つである、重点指向について、意味合いや考える手順を解説しました。
重点指向は問題解決を効率的に進めるうえで必須の考え方ですので、意識して身に着けるようにしましょう。
また、QCストーリーで言えば、問題解決型の現状把握のステップの考え方そのものと言えます。別の記事でも解説していますので興味のある方は参考にしてください。
また、重点指向と同じく、目標達成に向けて合理的な活動をしようとする考え方として、目的指向があります。こちらについては別の記事で解説していますので、興味のある方はご覧ください。
本記事がQC活動の参考になれば幸いです。
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