QCサークル活動の衰退が進む理由【特に製造業が顕著?】

QC

gray vehicle being fixed inside factory using robot machines

「QCサークルって衰退してきているの?」

このような疑問について答えます。

本記事では、製造業のQCサークルが今後衰退する可能性がある理由について、個人的な見解を説明します。

この記事を書いている私は、製造メーカーの技術職で10年以上のQCサークル活動の経験があります。また、QCサークル活動の推進者としても携わってきました。

製造業を取り巻く社会の流れを考えたときに、QCサークルは衰退する可能性があると感じます。

非正規労働者の増加や働き方改革の影響を受けているのはもちろんですが、それ以上に、影響を与えると考えられるのは、昨今の品質コンプライアンス違反の防止として、品質マネジメントシステムの徹底が進むという点です。

QCサークルの衰退と品質マネジメントシステムの徹底は、矛盾しているようですが、なぜでしょう?

本記事では、この観点からQCサークルの衰退について解説していきます。

QCサークル活動の衰退が進む理由【特に製造業が顕著?】

blue and yellow metal industrial machine

今後、製造業でQCサークル活動の衰退が進むと推測される理由は、品質マネジメントシステムの徹底が進むからです。

その背景には、昨今の日本企業の品質コンプライアンス違反があります。

品質コンプライアンス違反に伴う、品質マネジメントシステムの徹底

品質コンプライアンス違反の問題

2017年の秋以降、大手鉄鋼メーカーや自動車メーカーで、品質データ改ざん問題や完成検査の不正が続々と発覚し、世間に衝撃を与えました。

要は、企業が自ら決めたルールを破り、顧客に嘘をついていたということです。これは、顧客や社会の信頼を裏切る、許されない行為です。

こういった背景には、厳しくなる顧客からの品質要求に対してマージンを確保した品質の作り込みができていないことがあると推測されます。

つまり品質要求が厳しく、品質特性の規格が狭い、そのため規格スレスレあるいは若干外れた製品が出てきているのでしょう。

製品歩留まりを向上させるための品質改善が必要です。そうなるとQCサークルによる改善活動にも期待が集まるわけですが、この改善活動に落とし穴があります。

品質マネジメントシステムの徹底

先に説明した品質コンプライアンス違反の問題が明かるみになってから、世の中的にISO9001に代表される品質マネジメントシステムの徹底がより強く要請されるようになっています。


今後は、ISO9001やIATF 16949などの取得がより川下の顧客から要請され、その規格に沿った運営がより求められるでしょう。

これまでは、ISO9001の資格認定を受けている企業で、品質マネジメントシステムから外れたとしてもそれはグレーとして扱われ、スルーしている企業が多かったかもしれませんが、今後はそうはいきません。

ここまでは正論ですが、果たして、ISO9001やIATF16949のような品質マネジメントシステムの規格を完璧に守って運営できる会社などあるのでしょうか。

様々な観点から多くの疑問が出てきます。例えば、顧客への4M変更の申請がその一つです。

改善活動のハードルが上がる【ルール順守の要求】

white and blue sawhorse on field

さて、ISO9001:2015年度版では、6.3項「変更の管理」と8.2.4項の「製品及びサービスに関する要求事項の変更」が追加されています。

要は、材料・設備・人・工法などの4M変更がある場合いは、顧客での重大な品質問題に繋がる可能性があるので必要に応じて、顧客にその旨を伝達する必要があるということです。

これって当たり前のことですが、表現が曖昧で、グレーです。

品質マネジメントシステムの徹底はQCサークル活動の衰退につながる

ここで、ひっかかるのが、QCサークルでの改善活動です。特に、製造業で製造工程の設備改善や製造方法の見直しをした場合に、4M変更に当たる可能性が高いということです。

また、品質に影響を与える(良い影響)ために、改善をしているわけで、「この改善は品質に影響はありません!」と言うことはできないでしょう。

もちろん、改善品の社内評価をあらゆる角度で実施し、品質に悪影響を与えるリスクは低いです!とは言えても、果たして本当にそう言い切れるのかは、正直言って顧客工程に製品を流さなければわかりません。

となると、短期間によるQCサークルの改善活動はハードルが大きく上がるということです。結局、QCサークル活動で扱う範囲は、当たり障りのない範囲しかできないでしょう。

万が一、現場のQCサークルで良かれと思って設備を改造して、その製品を顧客に出荷してしまえば、品質マネジメントシステムを無視しており、ルール違反となります。

これでは、QCサークル活動は衰退していくことになるでしょう。品質マネジメントシステムの徹底が、改善活動推進の妨げになる可能性があるのです。

ただし、これは、本来やるべきことなのです。ただし、現実的でないルールは守られない危険性が高いことは間違いありません。

今後のQCサークル運営【管理職/QCサークル推進者】

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昨今、顧客からの品質要求は厳しくなっており、品質規格は狭まっています。そのため、良かれと思って取り組んだ品質改善や作業効率化が思わぬ形で、顧客で悪影響が顕在化する可能性が高まっています。

よって、QCサークル活動の推進者や部門の管理職はそのことを十分に念頭に置いてサポートすることがこれまで以上に必要です。

QCサークルはメンバーの自主性を重んじことが重要です。ただし、昨今の状況を顧みれば、その精神を重視しながらも、より企業を取り巻くステークホルダーのことを念頭に置いて、適切な指導をして下さい。

日本の品質の優位性を築いた一つの要因がQCサークル活動だと思います。時代の流れに沿ったQCサークルの形に適用させていくことが必要です。

まとめ

製造業のQCサークル活動が衰退する理由について、個人的な見解を解説しました。

QCサークルが非正規労働者の増加や働き方改革に上手く適用できていないことに加え、品質マネジメントシステム徹底の影響も受けて、より衰退が進むと懸念されます。

管理職やQCサークル推進者は、時代の流れに沿ったQCサークルの形に適用させていくことが求められています。

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