

「QCストーリーの問題解決型と課題達成型の違いってなに?」

「QCサークル活動を進めるうえで、どちらのストーリーで進めればわからない」
こういった疑問にお答えします。
■本記事の内容
・QCストーリーとは
・問題解決型とは
・課題達成型とは
・問題解決型と課題達成型の違い
・QCストーリー選び方のポイント
・まとめ
この記事を書いている私は、製造メーカーの技術職で、10年以上のQCサークルの経験があります。
また、QCサークル活動の推進者としても長年関わってきました
ですので、QCサークル活動の実態や運用面の難しさについては十分に理解しております。
教科書的な内容含め、私の実体験に基づいた活動に役立つ情報を提供していきます。
QCストーリーとは

簡単に言うと、『困りごとを効率的に解決するための手順』です。
QCストーリーの型の種類は以下の通りです。
・問題解決型
・課題達成型
・施策実行型
・未然防止型
QCサークルで扱う代表的な型は、問題解決型と課題達成型です。
2つの型はそれぞれ取り扱うのに適した『困りごと(テーマ)』があるので、その内容によって使い分けます。
ここまでお話しすると、
『いやいや、自分は独自の方法で解決したい』
という意見が出てきそうですが、それもOKです。
ただし、初心者であれば、まずは型に沿って活動したほうが正直言って効率的です。
たまに、独自のやり方で進めていって、後でQCストーリーの型に当てはめて発表するようなグループも見受けられますが、結局ストーリーの辻褄があわずに苦労することになるので、やめるべきです。
ですので、QCストーリーを理解してそれをさらに応用できるような上級者のグループを除き、Q Cストーリーに沿って活動することをお勧めします。
問題解決型のQCストーリーとは

次に、問題解決型の概要を紹介します。
まず、問題解決型のQCストーリーとは、『問題』を解決する効率的な手順のことです。
活動テーマ(困りごと)が、『問題』であればこの型の手順に従って解決するのが効率的です。
では、どのような困りごとが『問題』であり、問題解決型で取り組むべきかというと、
テーマで扱う困りごとの対象が、定常の状態(あるべき姿)と比較して、悪いときがあり、その原因を突き止めて、対策をとることで定常の状態(あるべき姿)に戻し、安定させたい場合です。
それでは、問題解決型のステップを見ていきましょう。
▪️問題解決型のステップ
問題解決型は以下のステップに沿って進めていきます。
- テーマ選定
- 現状の把握
- 目標の設定
- 要因の解析
- 対策の検討と実施
- 効果の確認
- 標準化と管理の定着
ポイントは、困りごとを明確にすることと、現状の把握です。
よくある失敗は、困りごとが明確になっていない状態で、なんとなく現状の把握を進めてしまい、『そもそもこの活動って何やってたんだっけ?』と詰まってしまうパターンです。
そのあたりも、うまく進められるように各ステップの詳細について、別の記事で順次解説していますので、そちらをご覧ください。
問題解決型の進め方のまとめ記事はこちら↓
課題達成型のQCストーリーとは

もう一つの代表的なQCストーリーである課題達成型の概要を紹介します。
課題達成型のQCストーリーとは、課題(ありたい姿)を達成するための効率的な手順のことです。
ここでの注意点は、『課題』とは『ありたい姿』のことを指しており、辞書的な意味とは異なります。
この意味合いを辞書的な表現で捉えてしまうと、問題解決との区別ができずに混乱の原因となります。
『ありたい姿』とは、高い目標をクリアした状態であり、課題達成型は、『現状』と『ありたい姿』のギャップを埋めていく効率的な取り組み手順と考えればよいです。
また、問題解決で目指す『あるべき姿』と『ありたい姿』は違う意味なのでご注意ください。
日科技連のホームぺージに課題達成の流れを『山登り』に例えて記載されているので、参考まで↓ 課題達成の流れ
課題達成は、新規事業の立ち上げなど、未知の要素が多い目標を達成するための取り組みです。そういう意味では、課題達成は山登りに似ています。
引用先:日科技連
さて、課題達成型のステップは以下の通りです。
▪️課題達成型のステップ
- テーマ選定
- 課題の明確化(攻め所の設定)
- 目標の設定
- 方策の立案
- 成功シナリオの追求
- 成功シナリオの実施
- 効果の確認
- 標準化と管理の定着
ポイントは、2. 課題の明確化(攻め所の設定)です。
ここで、現状と課題(ありたい姿)にどのようなギャップがあるかを定量的にとらえることが特に重要であり難しい点です。
各ステップの詳細については、別の記事に記載しますので、そちらを参考にしてください。
QCストーリー『問題解決型』と『課題達成型』の違い

ここまで、問題解決型と課題達成型の概要について説明してきましたが、両者の違いは何かわかってきているのではないでしょうか。
『あるべき姿』を目指すのであれば問題解決型であり、現状把握・要因解析から有効な対策をとっていきます。
一方で『ありたい姿』を目指すのであれば課題達成型であり、現状と課題のギャップをとらえて、そのギャップを埋めるための方策を立てて実行していきます。
このように問題解決型と課題達成型は、目指す姿も違えば、目標達成のアプローチも大きく異なります。
QCストーリー選び方のポイント

活動で目指す姿が、『あるべき姿』か『ありたい姿』かで、ざっくりと問題解決型か課題達成型かに分けて選ぶのがよいです。
QCストーリーを選ぶツールとして、QCストーリー適用判定表もあります。
ただし、判定表に頼り続けていると、いつまでたっても本質を理解できないままになるので、初心者でも判定表ではなく、これまで解説してきた観点でQCストーリーを選ぶことを強く勧めます。
QCストーリーを選ぶタイミングは、まずテーマを選定した時点で決めます。
ただし、現状把握や課題を明確化して目標を設定するときに、改めてQCストーリーが適切なのか確認するのがよいです。
まとめ
代表的なQCストーリーである問題解決型と課題達成型の概要の説明と選び方のポイントについて解説しました。
問題解決型と課題達成型の違いを理解し、活動で目指したい姿に合わせて、適切なQCストーリーを選択し、効率的なアプローチで取り組めるように目指しましょう。
また、QC活動で必要となる問題解決力や論理的思考、伝える力、生産性の高い会議を行う方法について、私が厳選した良書をこちらの記事で紹介しているので、向上心があり気になるかたは参考にしてください。
以上、QCサークル活動の参考になれば幸いです。
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