「QCDって、品質・コスト・納期ってことは知っているけど、イマイチピンとこないし、頭から抜ける。QCDはどういった点で重要なのか教えてほしい」
こういった疑問に答えます。
本記事の内容は以下の通り。
- 品質・コスト・納期が重要な理由【利益を生み出す指標】
- 品質・コスト・納期とは【生産管理の3原則】
- 品質・コスト・納期の優先順位【品質第一】
この記事を書いている私は、製造業の技術職で、10年以上QCサークル活動に参加し、QCサークル活動の推進者としても長年携わってきました。
QCDが品質・コスト・納期であることを知っていても、そんな感じのクイズに答えられるだけで、何の役にも立ちません。
本記事では、生産管理の3要素である品質・コスト・納期(QCD)について、それぞれの意味合いと、なぜ重要なのかを解説していきます。
品質・コスト・納期が重要な理由【利益を生み出す指標】
結論から言うと、品質・コスト・納期が重要とされる理由は、企業が儲けを出すために必要な指標だからです。
つまり、品質・コスト・納期は、企業が利益を出して、市場で勝ち残るための競争力の基礎とも言えます。
この3つの指標がズタボロでは、いくら製品が売れても、企業は利益を継続して出し、成長していくことは難しいでしょう。品質・コスト・納期は企業の存続にかかわる要素と言えます。
正直、大企業の製造現場の従業員がこの重要性を肌で感じるのは難しいと思います。私も製造現場にいたときは、良品を作ることで精一杯でコストだの納期だのはほとんど意識できませんでした。
品質・コスト・納期が大事だと口では言えても、本当の重要性は理解できていないのです。顧客や競合と最前線で向き合う機会が増えて、ようやくわかり始めた感じです。
次に、品質・コスト・納期についてそれぞれ説明していきます。
品質・コスト・納期とは【生産管理の3原則】
品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)は、頭文字をとってQCDとも呼ばれます。昨今は、市場の変化が激しく、市場の変化に対応できる柔軟性も重要であり、柔軟性(Flexibility)を加えてQCDFとも呼ばれます。
品質・コスト・納期は、企業が市場で勝ち残るための競争力となる指標です。
よって、この指標は管理・改善が必要なのです。継続的に改善をしないと、競合との競争に負けます。
そのことを念頭に置いて、それぞれの用語の意味合いを理解していきましょう。
品質(Quality)
QCDの品質(Quality)は、製造品質(できばえの品質/適合品質)を指します。つまり、実際に製造した現物が、どれだけ設計図面通りにできたかという程度のことです。
設計品質ではありません。設計品質はもちろん大事ですが、実際にできた現物の品質が悪いとなると、企業が儲けるという観点ではお話になりません。
ここでいう品質は、歩留まりや不良率などの指標で管理されることになります。
このあたりの「品質」・「製造品質」・「設計品質」については別の記事で定義と意味合いを解説しています。これらの記事を読んで理解を深めることをおすすめします。
コスト(Cost)
コスト(Cost)は、製造原価のことです。コスト/製造原価が低いほど、安く商品をつくることができ、競争力のある商品となります。
商品の価格(Price)ではないことに注意しましょう。いくら販売価格が顧客にとって魅力的であったとしても、実際の製造原価が高ければ、企業は利益を出すことができません。
企業は、売上げが高くても、利益を出せなければ存在価値がありません。企業はボランティア活動をしているわけではないからです。
納期(Delivery)
納期(Delivery)とは、納入期限の略で、お客様に商品を納入する期限のことです。
納期が守れなければ、顧客からの信頼を失い、競合に乗り換えられてしまう可能性があります。
納期通りに商品を納入できるように、生産リードタイムを管理する必要があります。
品質・コスト・納期の優先順位【品質第一が原則】
「品質第一!」製造業の現場で良く聞かれる合言葉です。品質・コスト・納期のなかで優先されるのは、品質ということです。
要するに、継続的に利益を出せる競争力のある商品を提供するための原則は、第一に品質を改善しましょうということです。
理由としては、品質を良くすることが、コストと納期の改善にも繋がるからです。
第一にコストを見直して、製造原価を上げることで品質を向上させることではないということです。これでは、利益を上がるという目的に反します。
第一に納期を見直して、生産リードタイムを伸ばすことで、品質の良いものを作るということでもありません。これでは顧客の信頼を失い、継続的に利益を上げることはできません。
なので、第一に品質の向上が重要ということです。
まとめ
品質・コスト・納期(QCD)の意味合いと重要視される理由について解説しました。QCDは、企業が利益を出し続けていくために必要となる基礎的な指標です。
これらの指標を管理・改善していくことで儲けを出すための足場を固めることができるのです。普段の自身の業務が品質・コスト・納期のどこに関わっているのか意識しながら仕事をしましょう。
本記事は、以下の本を一部参考にしました。初心者向けでとても読みやすく、品質管理の基礎が分かります。興味のある方は読んでみて下さい。
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