工場勤務者「品質ってあたりまえのように使っているけど、あいまいで良くわかりません。意味合いってなんですか？」
こういった疑問に答えます。
本記事の内容は以下の通り。
・品質の定義
・品質の意味合い
この記事を書いている私は、製造業の技術職で、10年以上QCサークル活動に参加してきました。またQCサークル活動の推進者としても長年携わっています。
本記事では、製造業やサービス業で働くかたが会社で使っている「品質」という言葉を対象として、定義の紹介や意味合いを解説します。
品質の定義
広辞苑や日本産業規格（JIS : Japanese Industrial Standards）、日本品質管理学会（JSQC : Japanese Society for Quality Control）の 品質の定義は以下の通りです。
広辞苑
品物の性質。しながら。
JIS Q 9001
本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度。要求事項とは、「明示されている、通常、暗黙のうちに了解されている若しくは義務として要求されている、ニーズ又は期待。」
JSQC
「製品・サービス、プロセス、システム、経営、組織風土など、関心の対象となるものが明示された又は暗黙のニーズを満たす程度。」
JISとJSQCはなんとなく似たような定義ですが、広辞苑とは意味合いが全く異なります。
この辺りの定義の違いや、JISやJSQCの品質の定義のわかりづらさが人によって解釈がまちまちとなる要因なのかもしれません。
次に、JISとJSQCの品質の定義について、その意味合いを解説していきます。
品質とは？【意味合い】
品質とは
品質とは、「製品やサービスの特性/特徴が、どれだけお客様の要求や期待を満たしているかの程度」ということです。
製品の特性/特徴とは、例えばスマホなら、価格・デザイン・重さ・処理速度・画素数・バッテリー時間などです。
品質の意味合いは、こういった特性・性質のこと、ではなく、これらの特性がどれだけお客様の要求・期待に応えられたかの程度のことです。
つまり広辞苑で書かれているような品物の性質ではなく、顧客満足度に近い意味合いです。
品質は顧客が決めるもの
繰り返しになりますが、国家規格であるJISやJSQCで定義される品質の意味合いは、製品やサービスがどれだけお客様の要求や期待を満たしているかの程度ということです。
つまり、品質の良し悪しは、顧客が決めるものであり、生産者が製品を作ってこれは良い品質だ！と自己満足するものではないと言えます。
あくまで、顧客が製品やサービスを評価して、品質を決めるのです。
つまり、品質という言葉の背景には、生産者がお客様の要求や期待を把握して、それを満たす製品やサービスを作りましょう、という考え方があるのです。
品質の良し悪しは顧客によって変わる
一方で、品質は顧客が決めるもの、ということは、顧客によって品質に対する評価は変わると言えます。
Aさんはデザイン重視、Bさんは機能重視であれば、同じ製品でもその品質の評価は変わります。繰り返しになりますが、品質は生産者が良し悪しを評価するものではないのです。
変化する品質の定義
ここで、過去のJIS規格、旧JIS規格の品質の定義を紹介します。
旧JIS Z 8101
品物またはサービスが使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価の対象となる固有の性質・性能の全体
現JIS規格であるJIS Q 9001の定義とは異なりますね。つまり品質の定義が変わっているということです。
かつては、市場に製品やサービスが不足しており、顧客や社会の要望をあまり考慮せずに、企業の都合を優先して、わりと一方的に製品やサービスを販売していました。
しかし、現在では、市場が成熟し、製品やサービスが溢れています。そのため、より顧客指向・顧客第一の考え方が重要視されています。
このような、社会の流れ、市場の流れが変わることで、品質の定義も変わってきているのです。
今後も品質の定義は変わるかもしれません。
企業やそこで働く人、フリーランスも含め、社会で生き残るためには、時代の流れや社会のニーズをとらえ、変化していくことが必要と言うことです。
まとめ
製造業やサービス業で使われている「品質」という言葉の定義や意味合いについて解説しました。
現在の品質の意味合いは、「製品やサービスの特性/特徴が、どれだけお客様の要求や期待を満たしているかの程度」です。
社会や時代の流れによって定義や意味合いは変わります。変化の激しい時代に突入し、個人も会社も生き残るためには変化に対応することを意識していきたいものです。
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