【品質管理】ばらつき管理とは?

QC

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「品質管理でばらつき管理をしましょうと言われますが、何をすればよいのかイメージがわきません。ばらつき管理ってどういうことなのか教えてください。」

こういった質問に答えます。

本記事の内容は以下の通り。

・ばらつき管理とは?
・ばらつき管理のポイント
・ばらつきの原因を分ける手法【管理図】

この記事を書いている私は、製造業のエンジニアとして10年近い経歴があります。これまで品質保証やQCサークルの推進などに携わってきました。

品質管理の活動を進めるにあたり、ばらつき管理の考え方は基本的なものです。

やみくもに悪さを見つけてなんとなく品質改善をやったつもりになるのではなく、まずはデータに基づき統計的な品質管理を行うようにしましょう。

本記事では、品質管理における基本となるばらつき管理について意味合いを解説していきます。

【品質管理】ばらつき管理とは?

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製品の品質には、どうしても「ばらつき」が存在します。全くぶれることなく、常に一定の品質を維持することは理想ですが、現実的には不可能です。

それは、製造工程の場の変化や環境変動の影響を受けるからです。

ばらつき管理とは、このような品質特性のデータのばらつきを、許容される範囲内に管理する考え方のことです。

ある程度、品質にばらつきが出てしまうのは仕方がない。しかし、許容範囲内に抑えるように維持管理しようという活動です。

ばらつき管理のポイント

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ばらつき管理のポイントは、以下のようにばらつきの原因を偶然原因と異常原因に分けて考えることです。ここが重要です。

ばらつき原因の種類

・偶然原因
・異常原因

偶然原因のばらつき

現行の製造条件や作業方法など、4M(Man, Machine, Material, Method)に関連する標準を守っていても発生してしまう、避けられないばらつきを偶然原因によるばらつきと呼びます。

これらの偶然原因によるばらつきを完全にゼロにすることは現実的ではありません。やみくもに、品質を改善するためにばらつき低減に力を入れてもコスパが悪い場合が多いです。

まずは、偶然原因によるばらつきがあることは認め、これを許容範囲内に維持管理していきましょう。

異常原因のばらつき

通常とは異なる状態を原因として発生するばらつき。つまり、標準化された作業や条件から逸脱することや標準化の不備によって発生するばらつきのことです。

これは、発生原因を特定して対策を実施し、標準化することで再発防止を行います。

原因を特定せずに暫定対策を打つようなその場しのぎを繰り返していくと、過剰管理や作業負荷増加につながり自分達の首を絞めることになるので注意が必要です。

一つ一つ異常原因を特定し、標準化を進めることで工程を安定化させていきましょう。

QCストーリーに代表される問題解決の手法は別の記事で解説しているので興味がある方は参考にしてください。

問題解決型QCストーリーとは、『問題』を解決するための効率的な手順です。QCストーリー問題解決型で扱う問題とは、現状とあるべき姿とのギャップ(悪さ)のことです。問題解決型の手順に従い、問題の原因を突き止め、対策によってあるべき姿に戻し、安定 させることを目指します。

ばらつきの原因を分ける手法【管理図】

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偶然原因と異常原因のばらつきを切り分けて、工程を解析・管理するツールとして、管理図があります。

品質管理ではカン・コツではなく、統計的な手法を使います。

標準化された工程の過去のデータから偶然原因によるばらつきの大きさを把握し、中心線(CL)と上方管理限界(UCL)、下方管理限界(LCL)を設定します。

この上方管理限界と下方管理限界から外れたものを異常原因によるばらつきと判断します。

ただし、注意が必要なのが、あくまで、「標準化された工程のデータ」から偶然原因のばらつきの大きさを把握するという点です。

標準化されていない工程データには、異常原因によるばらつきが含まれている可能性があり、偶然原因のばらつきの範囲を広く見積もってしまうため、管理図による適切な管理ができなくなります。

よって、工程が十分に標準化されているかまず確認することが大切です。

自分が扱う工程データがどういった状態で得られたものなのか?
そのデータで上方/下方管理限界を設定しても問題ないのか?

ばらつき管理をするためには、そのあたりを慎重に考えていく必要があります。

まとめ

ばらつき管理の意味合いについて説明しました。ばらつき管理とは、ばらつきを許容範囲内に維持・管理していく活動です。

ばらつきは偶然原因と異常原因の二つの原因によって分類され、管理図を活用して区別します。異常原因には原因特定と対策及び標準化を行い、工程の安定化につなげます。

ただし、ばらつき管理の前提として、工程が標準化されていることが必要です。まずは、取り扱う工程の4Mがしっかり標準化できているか確認するところからはじめましょう。

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