「QCストーリーの効果の確認のステップで具体的に何を確認すればよいのかわからない」
こういった疑問に答えます。
■本記事の内容
・QCストーリーの効果の確認の方法
・効果の確認の項目
この記事を書いている私は、製造メーカーの技術職で、10年以上のQCサークルの経験があります。また、QCサークル活動の推進者としても長年関わってきました。
ですので、QCサークル活動の実態や運用面の難しさについては十分に理解しております。
教科書的な内容含め、私の実体験に基づいた活動に役立つ情報を提供していきます。
QCストーリーの効果の確認の方法
QCストーリーの効果の確認とは
「効果の確認」はすべてのQCストーリーに共通するステップです。
このステップでは今回の活動に取り組みが、どんな成果につながったのかを確認します。
対策をやりっぱなしで、なんとなく効果が出たと感じて活動を終了させるのではなく、しっかりとQCサークルのメンバー全員で、対策の効果を確認することが必要です。
また、期待した効果が得られてないのであれば、前のステップに戻って現状把握または要因の解析や攻め所を見直して、追加対策を検討することになります。
効果の確認では、自分達の都合の良い解釈や帳尻合わせをするのではなく、正しい土俵で対策前後の比較をすることが大事です。
QCストーリーについて気になる方はこちらの記事を参考にしてください。
QCストーリーの効果の確認の手順
効果の確認の手順と方法について解説していきます。
まずは、効果の確認手順から説明します。
1.有形効果の確認
2.波及効果の確認
3.無形効果の確認
1. 有形効果の確認
目標値に対する比較
「有形効果の確認」では、目標設定のステップで決めた目標値に対する達成率を確認します。
つまり、活動での対策後の特性値と目標値を比較して、その達成率を確認するということです。
ここで、重要なポイントが2つあります。
1つ目は、対策前後の効果は、現状把握と同じ土俵(ものさし・手法)で対比するということです。
対策による効果を自分達の都合のよいデータ期間やデータのn数で比較するようなズルはしないでね、ということです。
短い活動期間で、完全に同じ土俵でデータを比較することはなかなか難しいですが、少なくとも妥当性のある比較をするように心がけてください。
2つ目は、対策ごとに効果を確認するということです。
活動中は、複数の対策を打つことがほとんどだと思いますが、対策ごとに効果を確認しましょう。
これをすることで、一番効果の高い対策を把握することができます。
そして、更にこの対策を改良することで、より大きな効果を得られる可能性もありますし、標準化や管理の定着のステップでも、この対策の管理が重要ポイントだとわかります。
2. 波及効果の確認
波及効果とは、QCサークル活動を通じて得られた効果によって、他に影響を及ぼす効果のことです。
つまり、QC活動で当初考えていた目的を達成するために実施した対策による効果が、その目的以外の領域にまで影響を与えているか確認しましょうということです。
また、波及効果は活動による良い面だけでなく、悪い面として副作用がなかったかも確認するようにしましょう。
もし悪い副作用がある場合にはそのまま放置せずに、今後の課題として解決に向けて取り組みましょう。
また、当初考えていた目的を達成できたとして、それを似たようなところにも水平展開できないか検討します。
ここで、水平展開ができれば今回の活動によって考えていた以上の成果を得られる可能性があります。
波及効果で得られた成果は、会社の利益貢献だけでなく、体質改善につながっていないかという観点でも確認してください。
3. 無形効果の確認
無形効果は、活動を通して得られたメンバーの成長や職場環境の改善などを確認します。
この評価については、QCサークルのメンバーが自主的に行うことが原則ですが、ほぼほぼ甘々な評価になることがほとんどなので、上司や所属長などに確認をして客観的なフィードバックも入れるべきだと思います。
評価項目については、特に決まりはないので各企業や各職場に合った評価項目を設定しましょう。
QC活動の無形効果はレーダーチャートで見える化
QC7つ道具のレーダーチャートを使って、活動前後でメンバーやグループのチームワーク・やる気・役割分担・職場環境（明るい職場）・問題解決能力などを見える化します。
各項目を数値化することで、変化が一目で見ることができます。ただし、数値が変化した理由・根拠は説明できるようにしましょう。
また、QC7つ道具のレーダーチャートは、発表資料の効果確認のステップで使うのが有効です。文字だけ並んだ資料よりもグラフのほうが観ている人が一目でわかります。
レーダーチャートの作成についてもエクセルのグラフのなかにレーダーチャートが入っているので簡単に作成可能です。
QC活動の効果金額について【補足】
QCサークル活動は、サークルメンバーの能力向上や仕事のやりがいアップなど、「人材育成」や「職場の活性化」が本来の狙いです。
それに加えて、QCサークル活動の成果による、会社への業績貢献を効果金額として示すことができればなお良いです。
効果金額は、活動によって削減した労務費・材料費や、新製品の投入によって得られた利益などがあります。この辺りは上司と相談しながら効果の確認をすると良いです。
一方で、QC活動による効果金額は絶対必要なものではないですし、効果金額の大きさによってその活動の良し悪しが評価されるのはおかしいと考えます。
部署によっては、効果金額が大きく出やすいところと、そうではない部署がありますよね。製造部門と事務部門では、同じぐらい活動を頑張っても、改善による効果金額は製造部門のほうが大きい場合が多いです。
繰り返しになりますが、QCサークル活動の本来の狙いは、人材育成と職場の活性化です。
金銭効果については、＋αの要素、参考程度で良いかと思います。もし会社のQCサークル活動の評価が効果金額が主であるならば変えていくことが必要でしょう。
まとめ
QCストーリーの効果の確認の方法について解説しました。
効果の確認の種類には、有形効果・波及効果・無形効果があります。
自分達の活動の成果を把握し、今後の活動につなげるためにも重要なステップですので、しっかり取り組みましょう。
本記事がQC活動の参考になれば幸いです。
参考書↓
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